ライフプランニング

【コラム】なぜ老後不安が無くならないのか【2020/10/13】

「老後資金2,000万円問題」を皮切りに、日本中で老後への不安が顕在化しています。
世代間による認識のギャップは、日本がこれまでに築いてきた社会保険制度の穴を露呈しました。

本記事では、多くの日本人が漠然と抱えている「老後不安」についての個人的な考えを述べるに留まる拙稿に過ぎませんが、少しでも当事者意識を持って考える機会になれば幸いです。

老後不安の正体は「お金」だ

現代の資本主義社会において、不安の正体を暴くのは簡単なケースが多いです。
不安の正体は「お金」であるケースがほとんどだからです。

例えば、2020年現在、新型コロナウイルスの世界的大流行に伴い、有効求人倍率の低下が原因の就職難が叫ばれていますが、これも結局、「仕事をしなければお金が手に入らず、生活が立ち行かない」という、資本主義社会において、覆しようのない前提が存在しているからこそ生まれる不安ということができます。

老後の不安も例に漏れず、「お金」と非常に強い関わりがあります。

「なにを当たり前のことを」と思うかもしれません。
「もっと他にも不安因子はある」と思うかもしれません。

ですが、その不安の元凶を辿っていくと、驚くほど「お金」に終着することがわかるだろうと思います。

資本主義社会において「お金」は神よりも崇高な存在とも言えましょう。
なぜなら、神がいてもいなくても、自らの生死は左右されない(正しくは、神の影響の客観的検証ができない)ですが、お金がなければ、明日の飯が食えない状態になり得るのが資本主義社会だからです。

幸い、日本では生活保護法によるセーフティネットが存在していますが、体裁を人一倍気にする日本人には、あまり馴染まない制度とも言えるかもしれません。
それならばいっそのこと、国民1人あたり月額10万円程度(現在価値基準)のベーシックインカムを導入して、みんなが平等に所得ゼロでも最低限の生活ができるようにしてしまった方が良いのかもしれません。

国が抱える膨大な借金

正直なところ、日本のセーフティネットは崩壊寸前とも言えます。
2020年現在、日本の普通国債残高は約1,150兆円です。途方もない数字です。

「借金時計」という興味深いデータを取り扱っているサイトがあります。

ハーベイロードジャパン「借金時計」ページより引用
https://www.takarabe-hrj.co.jp/debtwatch

日本の人口は、令和2年9月時点で1億2,581万人(総務省・「人口推計」より)なので、単純に1人あたりの借金総額を求めると、約920万円ほどになります。

人によっては、借金の債権者、つまり国債を買っている人もいますので、借金格差は1,000万円を超えると言って良いでしょう。

つまり、1,000万円の資産があって初めて、本当の意味での資産形成と言えるのかもしれませんね。
これは少し行き過ぎた意見かもしれませんが、実際問題、国債発行残高が、年々すごい勢いで増加していることは、理解しておかなければならない事実です。

環境は、人を良くも悪くも変えるもの

「なぜ、多重債務国になってしまったのか。」
その原因を一概に述べることは筆者にはできませんが、「慣れって、こわい」というのは、キーワードじゃないかなと思います。

国債の発行に慣れてしまった日本は、予算は二の次で、次々に国民が喜ぶ施策を打ち、同時に、諸外国へも同じような態度を取っていた結果、八方美人化してしまい、財布はすっからかんどころか、膨大な借金まで抱えることになってしまったのだと思います。

そして昔から、政治家の汚職や賄賂、着服などの、モラルもへったくれもない問題は後を絶ちません。
しかし、だからと言って、一国民で何の影響力もない自分がどれだけここで騒いでも、何かを変えられるわけではありません。

「このもどかしい気持ちは、自分自身の行動と結果によって昇華させなければならない。」
それが、今自分が考えうる、環境をより良い方向へ変える最善かつ唯一の道だと考えています。

自由に附帯する責任を受け入れよ

一般的な人間の真理として、「自由は欲しいが責任は取りたくない」というのがあると思います。
会社で、「できるだけ裁量権が欲しくても、その責任までは追いたくない」と考えるのは、極めて自然なことと思います。

もちろん、この考えのもとに生きていくことは、大変合理的で、一般的な幸せを掴むための近道ともいえます。

これはステレオタイプかもしれませんが、昭和世代の人に多く見られる考えとして、「結婚を選ぶか、キャリアを選ぶか」というものがあります。
個人的には、この考え方は、合理的考えである一方で、人生の可能性を大幅に制限する考え方のようにも思います。

「結婚・出産するから仕事は減らす、仕事を辞める」というのが短絡的な思考であることは、社会全体として気付き始めていることではありますが、結婚や家族という枠に収まり、自分が本当にやりたいことに挑戦する自由と責任を破棄せざるを得ないような人生を生き続ける先に、幸せは訪れるのでしょうか。

老後不安を、老後の楽しみに変えるために

何の関係も無いような「自由と責任」の話をしたのは、一瞬一瞬の決定が、その後の人生を大きく変えるからです。

なぜ、老後への不安を抱えるのか。
それは、老後に不安になるような行動を、今取っているからではないでしょうか。
もしくは、老後への準備が足りなくて、漠然と不安を抱えている方もいるかもしれません。

様々な老後不安のうち、お金の問題は、国が主導する「iDeCo」を利用することによってその大半を解消できます。
iDeCoについて概要を知りたい場合は、下記記事を合わせてご覧ください。

iDeCo自体も、「自由と責任」が伴う制度といえます。

「老後にいくら必要で、今のうちにどれくらい資産形成をしておく必要があるか」という問題の答えは、人によって異なります。
それを一緒に考えるのが、ファイナンシャルプランナーの仕事の1つです。

老後の不安についてばかり考えていると、気が滅入ってしまいますから、少しでもその時間を、老後の楽しみを考える時間に変換できると、「老後も悪くないな」と思えるようになるのではないでしょうか。

【20201012】3分で読める「iDeCo(イデコ)」

忙しい人でも、簡単にiDeCoについての概要を把握することができるように、簡単にまとめました。

iDeCo(イデコ)とは?

iDeCo(イデコ)は、「個人型確定拠出年金」の愛称です。

誰でも加入可能(一定の掛金上限あり)

平成29年の法改正により、ほぼ全ての国民年金(厚生年金)被保険者が加入できるようになりました。
ただし、就業形態に応じて、一定の掛金上限があります。
後ほど説明します。

自分で拠出、自分で運用

iDeCoは、最終的にもらえる金額が決まっていません。というのも、拠出した掛金は、基本的に資産運用をしていくことになります。
どの資産で運用をするかというのは、自分自身で選択をすることになります。

決まった金額を拠出するから「確定拠出」

「確定拠出年金」の他に「確定給付年金」というのもあります。これは、最終的にもらえる金額が予め決まっているものを指します。
iDeCoは、「確定拠出年金」なので、拠出する金額が定額ですが、最終的にもらえる金額は、もらう時になってみないとわかりません。

iDeCo(イデコ)の仕組み

iDeCoについて、もう少し深くみていきましょう。

掛金上限は、就業形態に応じて1.2〜6.8万円

iDeCoには、毎月拠出することのできる掛金の上限が定められています。具体的には、下記の画像の通りとなります。

iDeCo公式サイト(https://www.ideco-koushiki.jp/guide/structure.html)より引用

※DC:確定拠出年金 DB:確定給付企業年金、厚生年金基金

これらの枠を超えない範囲で、毎月の掛金を拠出していきます。

掛金下限は、5,000円から1,000円単位で決められ、途中で掛金の拠出を止めることも可能

資金にそれほど余裕がない場合でも、iDeCoに加入することができます。
最低月額5,000円からの加入も可能で、1,000円単位で掛金を自由に決めることができます。

また、掛金の拠出を途中で一旦ストップすることもできます。
この間も、資産運用をきちんとしてくれるので、場合によっては、掛金を拠出しなくても資産が増える可能性もあります。

運用商品は自分で決める

ここがiDeCoの最も楽しいところであり、最も怖いところかもしれませんね。
拠出した掛金を何に投資するかは自分で決めることになるので、運用の結果、拠出した掛金よりももらえる金額が少なくなる場合もあります。

受け取り方は、年金でも一時金でもOK(年金と一時金を組み合わせることも可能)

一応、「確定拠出”年金”」という名称なので、老後の生活資金として、年金で受給することが想定されていますが、一時金としてもらってしまうことも可能です。

また、一部の金額を一時金で受給し、残りは年金で受給する、といった合わせ技も可能となっています。

この点において、受給時には非常に柔軟性のある制度ということができます。

受給開始は60歳から(中途脱退は原則不可)

iDeCoの年金受取は、原則的に60歳からとなりますが、60歳に達するまでの中途脱退は原則、できません。

例えば、30歳で加入したけど、40歳で脱退を検討し、今までの掛金を受け取りたい場合を考えてみましょう。

iDeCoでは、上記のような場合、中途脱退は不可能となっています。

そもそもiDeCoは、「老後の生活資金を若いうちから積立運用しておく」という国の方針を制度として反映したものなので、本来の目的とは違った使われ方をすると、せっかく国が税制優遇をした制度が台無しになってしまいます。

上記のような経緯があり、iDeCoは原則、中途脱退不可となっています。

iDeCo(イデコ)のメリット

最後に、iDeCoの優れている点をざっと確認していきます。

①掛金が全額所得控除される

例えば、所得控除の代表格として「生命保険」や「医療保険」がありますが、実は、これらの保険は、保険料の全額が所得控除されるわけではありません。

これに対してiDeCoは、その掛金の全額が所得控除されるため、その分、年間の所得税も安くなり、大きな節税効果が期待できます。

②運用によって得られた利益は非課税

iDeCoは自分で運用商品を決めることを先ほどお伝えしましたが、通常、資産運用によって得られた利益についても、所得税が課税されます。

ただし、iDeCoの掛金拠出によって得られた利益については、どれだけ大きな利益が出ても、所得税が課税されません。
これにより、更なる節税効果が期待されます。

③年金として受け取る時にも控除がある

実際にiDeCoを受給する際にも、「公的年金控除」の対象になり、民間の個人年金保険で年金をもらうよりも所得税が減額される(もしくは無税になる)ことになります。

年金と書きましたが、一時金で受け取る場合には「退職所得」として計算されることになり、こちらも節税効果の高い計算方式を使用することができます。

上記3つの節税効果により、iDeCoの利用によって、誰でも一生涯の節税効果を享受することが可能となります。

おわりに

今回は、iDeCoの概要について簡単にご説明しました。

更に詳しい情報が知りたい場合は、「iDeCo公式サイト(https://www.ideco-koushiki.jp/)」をチェックしてみてください。

年金ゼロの先にあるもの

こんにちは、Ryuです。

いつもブログを読んでくださってありがとうございます。

今回取り上げるのは、年金です。

減少する日本人口

既に日本は人口減少のフェーズに入っており、これによって、将来的にもらえる年金の総額は、ほぼ間違いなく減っていきます。

具体的にいうと、受給開始年齢の引き上げや、1回あたりの年金の金額の減少などが考えられます。

今日は、最悪のケースを考え、将来的に受給できる年金の金額がゼロになってしまった時のことについて、考えてみたいと思います。

年金は貯蓄なのか、保険なのか

人生100年時代と言われるようになって久しいですが、年金は、このような長寿リスクに備えた保険・共済制度だという前提を、まずは掴んでおく必要があります。

払った年金は将来ちゃんと受け取りたい、と思っている方も多くいらっしゃると思いますが、年金制度が立ち行かなくなってきている原因として、少子化と長寿化のダブルパンチが挙げられます。

数十年前よりも長生きする人が増えるようになったことで、国が支出する年金の金額も増えるわけですから、現役世代への負担はますます大きくなることが考えられます。

この負担を必要経費と取るか、搾取と取るかは人それぞれなのですが、年金制度についての基礎的な理解は深めておく必要があると思います。

年金がゼロになる具体的な理由

年金がゼロになる社会には、積極的な理由と消極的な理由が考えられます。

下記リストは主な予想です。

  • 積極的理由
    • ベーシックインカム(以下、”BI”とします)の導入(社会保障制度の廃止)
  • 消極的理由
    • 収支バランスの崩壊による年金制度の破綻

まずは、積極的理由から解説していきます。

BIの導入による社会保障の代替

BIとは、国民全員に一定のお金を配ることで、最低限の生活の保障を施すような考え方です。

日本は借金大国ですから、このような財政支出をするためには、税金をべらぼうに上げるか、既にある制度を廃止するしか無いと思います。

大幅な増税は、日本経済が停滞している状況を考慮すると、あまり現実的では無い気がするので、個人的には社会保障制度に替わってBIが導入されるのが現実的だと思います。

BI制度の是非については既に様々な議論がされていますが、本記事の主旨から逸脱するため、ここで多くは触れません。

BIの導入を積極的な理由としたのは、「国としての方針を示している」という点です。

国としての指針を示す能動的な政策と言えるため、政策の是非にこだわらず、積極的な理由としての紹介をさせて頂きました。

社会保障廃止で、日本はどう変わるか

BI導入などにより社会保障が廃止されると大きく変わる点を抜粋してみました。

  • 健康保険制度の廃止
    • 給料から健康保険料が引かれなくなる
    • 現在1~3割負担の医療費が10割負担になる
    • 出産手当金などの支給が受けられなくなる
    • 公的機関への手続きなどが無くなる
  • 年金制度の廃止
    • 給料から年金保険料が引かれなくなる
    • 老齢、障害、遺族年金が受けられなくなる
    • 公的機関への手続きなどが無くなる

この他にもいろいろ変わる点があるのですが、インパクトの大きいものとしては、年金が無くなることと、医療費が10割になるところでしょうか。

これらをBIによって補填するような形になるので、国民1人ひとりの資金管理が今までよりも重要になります。

現役世代が高齢者を支えきれなくなる未来

続いて、年金制度廃止の消極的な理由について考えていきましょう。

現時点で国家が抱える負債は1,100兆円を超えています。

そのほとんどを国内で所有しているから、大きな問題では無い、という人もいますが、冷静に考えて、負債が増え続ける国家は健全だとは言えないですよね。

社会保障は、国の大きな負担になっている

国の財政支出のうち約3割は社会保障費です。

これは、あらゆる財政支出の中で最も大きい割合であり、今後高齢者割合が増加していくにつれて、社会保障費の割合もどんどん上がっていくと思われます。

つまりこのまま社会保障費が増えていくと、日本は財政破綻をしてしまいますから、そうならないように、社会保障費を削る、というのが消極的な理由になります。

ただしこの場合は、BIのように代替する手段が提示されないため、一気に社会保障を無くす、というよりも、段階的に保障を減らしていくようなイメージです。

そして日本は、まさにこの最中にいます。

現役世代が負担する社会保険料が増え、高齢者が受給する年金が減り続けている今、改めて年金について国民1人ひとりが考える必要があると思います。

年金に関する諸問題を考えてマネーリテラシーを上げよう

今回は年金を軸に、将来の日本を考えてみました。

もちろん、今回述べた記事が正しい理解と見地に基づいた判断かと言われれば、自信を持って「そうだ」とは言えません。

しかし、こういった問題について自分自身で考えてみることで、日本の今後、ひいては自分自身の将来について、一度立ち止まって考える良い機会になると思います。

日本社会にとって悪いことが起きると、「全部国のせいだ」としてしまいがちですが、代表者を選んでいるのは、紛れもなく国民自身です。

それはただブーメランを投げているだけです。

今回は年金問題について取り上げましたが、今日本が抱えている問題について、自分で考えてみるだけでも、いろいろ調べることになりますので、マネーリテラシー(お金に対する理解)の向上につながると思います。

今回の記事をきっかけに、新しい学びの機会を得てもらえれば幸いです。