「老後資金2,000万円問題」を皮切りに、日本中で老後への不安が顕在化しています。
世代間による認識のギャップは、日本がこれまでに築いてきた社会保険制度の穴を露呈しました。
本記事では、多くの日本人が漠然と抱えている「老後不安」についての個人的な考えを述べるに留まる拙稿に過ぎませんが、少しでも当事者意識を持って考える機会になれば幸いです。
老後不安の正体は「お金」だ
現代の資本主義社会において、不安の正体を暴くのは簡単なケースが多いです。
不安の正体は「お金」であるケースがほとんどだからです。
例えば、2020年現在、新型コロナウイルスの世界的大流行に伴い、有効求人倍率の低下が原因の就職難が叫ばれていますが、これも結局、「仕事をしなければお金が手に入らず、生活が立ち行かない」という、資本主義社会において、覆しようのない前提が存在しているからこそ生まれる不安ということができます。
老後の不安も例に漏れず、「お金」と非常に強い関わりがあります。
「なにを当たり前のことを」と思うかもしれません。
「もっと他にも不安因子はある」と思うかもしれません。
ですが、その不安の元凶を辿っていくと、驚くほど「お金」に終着することがわかるだろうと思います。
資本主義社会において「お金」は神よりも崇高な存在とも言えましょう。
なぜなら、神がいてもいなくても、自らの生死は左右されない(正しくは、神の影響の客観的検証ができない)ですが、お金がなければ、明日の飯が食えない状態になり得るのが資本主義社会だからです。
幸い、日本では生活保護法によるセーフティネットが存在していますが、体裁を人一倍気にする日本人には、あまり馴染まない制度とも言えるかもしれません。
それならばいっそのこと、国民1人あたり月額10万円程度(現在価値基準)のベーシックインカムを導入して、みんなが平等に所得ゼロでも最低限の生活ができるようにしてしまった方が良いのかもしれません。
国が抱える膨大な借金
正直なところ、日本のセーフティネットは崩壊寸前とも言えます。
2020年現在、日本の普通国債残高は約1,150兆円です。途方もない数字です。
「借金時計」という興味深いデータを取り扱っているサイトがあります。
日本の人口は、令和2年9月時点で1億2,581万人(総務省・「人口推計」より)なので、単純に1人あたりの借金総額を求めると、約920万円ほどになります。
人によっては、借金の債権者、つまり国債を買っている人もいますので、借金格差は1,000万円を超えると言って良いでしょう。
つまり、1,000万円の資産があって初めて、本当の意味での資産形成と言えるのかもしれませんね。
これは少し行き過ぎた意見かもしれませんが、実際問題、国債発行残高が、年々すごい勢いで増加していることは、理解しておかなければならない事実です。
環境は、人を良くも悪くも変えるもの
「なぜ、多重債務国になってしまったのか。」
その原因を一概に述べることは筆者にはできませんが、「慣れって、こわい」というのは、キーワードじゃないかなと思います。
国債の発行に慣れてしまった日本は、予算は二の次で、次々に国民が喜ぶ施策を打ち、同時に、諸外国へも同じような態度を取っていた結果、八方美人化してしまい、財布はすっからかんどころか、膨大な借金まで抱えることになってしまったのだと思います。
そして昔から、政治家の汚職や賄賂、着服などの、モラルもへったくれもない問題は後を絶ちません。
しかし、だからと言って、一国民で何の影響力もない自分がどれだけここで騒いでも、何かを変えられるわけではありません。
「このもどかしい気持ちは、自分自身の行動と結果によって昇華させなければならない。」
それが、今自分が考えうる、環境をより良い方向へ変える最善かつ唯一の道だと考えています。
自由に附帯する責任を受け入れよ
一般的な人間の真理として、「自由は欲しいが責任は取りたくない」というのがあると思います。
会社で、「できるだけ裁量権が欲しくても、その責任までは追いたくない」と考えるのは、極めて自然なことと思います。
もちろん、この考えのもとに生きていくことは、大変合理的で、一般的な幸せを掴むための近道ともいえます。
これはステレオタイプかもしれませんが、昭和世代の人に多く見られる考えとして、「結婚を選ぶか、キャリアを選ぶか」というものがあります。
個人的には、この考え方は、合理的考えである一方で、人生の可能性を大幅に制限する考え方のようにも思います。
「結婚・出産するから仕事は減らす、仕事を辞める」というのが短絡的な思考であることは、社会全体として気付き始めていることではありますが、結婚や家族という枠に収まり、自分が本当にやりたいことに挑戦する自由と責任を破棄せざるを得ないような人生を生き続ける先に、幸せは訪れるのでしょうか。
老後不安を、老後の楽しみに変えるために
何の関係も無いような「自由と責任」の話をしたのは、一瞬一瞬の決定が、その後の人生を大きく変えるからです。
なぜ、老後への不安を抱えるのか。
それは、老後に不安になるような行動を、今取っているからではないでしょうか。
もしくは、老後への準備が足りなくて、漠然と不安を抱えている方もいるかもしれません。
様々な老後不安のうち、お金の問題は、国が主導する「iDeCo」を利用することによってその大半を解消できます。
iDeCoについて概要を知りたい場合は、下記記事を合わせてご覧ください。
iDeCo自体も、「自由と責任」が伴う制度といえます。
「老後にいくら必要で、今のうちにどれくらい資産形成をしておく必要があるか」という問題の答えは、人によって異なります。
それを一緒に考えるのが、ファイナンシャルプランナーの仕事の1つです。
老後の不安についてばかり考えていると、気が滅入ってしまいますから、少しでもその時間を、老後の楽しみを考える時間に変換できると、「老後も悪くないな」と思えるようになるのではないでしょうか。
お金の知識を網羅的に付けたい方は、下記の書籍を読むことをおすすめしています。
マネーリテラシーを付けて経済的自由を目指したい場合は、ぜひ読んでみてください。
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