よく、世間では「家計管理は重要」といわれますが、具体的にどのように家計管理をすれば良いのかがわからず、結局手つかずになってしまい、なかなかお金を貯められない状況に陥っている方も多くいらっしゃるかと思います。
家計管理がうまくできない人は多いと思いますが、その原因は「家計管理を通して何を把握したいのかが明確ではないから」に他なりません。
家計簿をつけるには、必ずその目的が必要です。
目的があっての手段なのでね!
家計管理は、目的を認識した上で、なるべくシンプルに管理することが大切です。
本記事では、経理経験者の筆者が考える以下3点を解説します。
- 家計管理で大切にすべきこと
- 家計簿で把握すべきこと
- 家計管理の第2ステップ
家計管理で大切にすべきこと
きちんと家計簿をつけて家計を管理したいと思っても、次のようなハードルにぶち当たった経験はありませんか?
家計簿がなかなか続かない…
自分の資産が今いくらなのかがわからない…
毎月いくら使って生活をしているのかがわからない…
クレジットカードの引き落としが予想に多くて生活がピンチ…
こういったハードルにぶち当たってしまう人の共通点としては、「家計簿によって何を管理したいのかが不明確である」ということです。
会計の世界には「管理会計」という分野がある
上記のようなハードルにぶち当たってしまうのを解決する前に、会計の世界について1つ学んでおきましょう。
会計の世界には、「管理会計」と呼ばれる分野があります。
管理会計とは?
管理会計とは、自社の経営に活かすために作成する、社内向けの会計です。経営者は、管理会計の情報をもとに、自社の経営について分析したり意思決定を行ったり、製品や人事に関する施策を打つことができます。(以下略)
ビジドラ「管理会計とは?財務会計との違いなどの基礎知識を解説」(https://www.smbc-card.com/hojin/magazine/bizi-dora/finance/control-accounting.jsp)
実は、家計管理というのも、管理会計の一種に区分することができます。
会社ではありませんが、家の"内部向けの会計"というということですね。
家計簿をつけることによって、自分や家族がこれからどのようにお金を使っていくかの意思決定をするために、家計管理は存在しているということができるでしょう。
家計管理を通して「何が知りたいのか」を考えよう
- 家計簿の選び方
- 家計簿の書き方
- レシートの管理の仕方
などなど、家計簿のスキルやノウハウ、手法の情報は、あらゆるところに出回っています。
しかしながら、家計管理をする上で一番重要なのは、「家計管理を通して何が知りたいのかを考える」ということです。
手法ばかり考えても、ほとんど意味がありません。
大事なのは、「その管理手法が目的に沿っているかどうか」です。
目的に適う方法、知りたいことが知れる方法なのであれば、実際のやり方はどんな形でも構いません。
その際は、なるべくシンプルかつ簡単にしておけばOKです。
家計管理の目的は人によって異なる
家計管理では目的が大切と言いましたが、実際の目的というのは、人によって全く異なります。
100万円貯めて家族で海外旅行に行きたい!
将来の老後資金が不安なので、今のうちからコツコツお金を貯めておきたい。
などなど、いろいろな目的が考えられますね。
では、上記のような目的を達成するために、実際にどのように家計管理をしていけば良いのかを、解説していきます。
家計簿で把握すべきこと
このブログでは、「お金の不安をなくし、経済的自由を達成する」というのを目標に掲げているので、このブログの読者も、おそらく同じようなところを目指しておられると思います。
今回は、上記の目的を達成するための家計簿をつけることを前提にして、
- いくらあれば最低限生きていけるか(必須生活費)
- いくらあればゆとりある生活ができるか(ゆとり生活費)
- 現時点でいくら持っているのか(総資産額)
を把握するための家計簿づくりを想定していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
必須生活費
まずは、「自分が最低限生きていくのにどれくらいのお金が必要なのか」を把握することが大事です。
毎月いくらあれば暮らせるのかがわからなければ、お金の不安は無くなるはずがありません。
日々の支出のうち、「この支出を削るのは厳しい」と思うものをピックアップしてみましょう。
人によって多少違いは出てくると思いますが、大体は下記のような項目が入ってくると思います。
- 家賃
- 水道光熱費
- 通信費
- 食費
- 被服、美容費
- 医療費
把握した必須生活費は、自分の生活を維持するのに必要なお金です。
これが把握できると、「いくら稼げば生活できるのか」「今の資産額で何年暮らせるのか」といったようなことが分かるようになるので、お金の不安を減らすのに役立ちます。
必須生活費の金額は、家族構成や生活水準などによって異なるため、人と比べてもあまり意味がありません。
比べるのであれば、自分の手取り年収や資産総額と比べるのが良いでしょう。
「年額」と「月額」に分けて考える
必須生活費を集計する際のポイントは、「年額」と「月額」に分けて考えることです。
全てを月額で管理しようとすると、年ベースでかかってくるような以下の費用などで支出額が大きくブレる原因になってしまいます。
- 更新料(借家の場合)
- 固定資産税(持ち家の場合)
- 家具家電代
- 冠婚葬祭費
ブレが大きいと、必須生活費を算定するための「最低いくらあれば生活できるのか?」というところが分かりにくくなってしまいます。
ゆとり生活費
必須生活費の金額が把握できたら、次に「ストレスのない、ゆとりある生活をするのにどれくらいのお金が必要なのか」を把握しましょう。
こちらも必須生活費と同じように、「年額」と「月額」に分けて考えると把握しやすいです。
自分が望むレベルの生活を送るのにどれくらいのお金が必要なのかが分かると、お金の使い方を考える参考になります。
現在の必須生活費以外の支出を参考に、「できればこれくらい使いたい」と思うような金額を集計してみましょう。
ゆとり生活費は、必須生活費以上に人によって差がつくところです。
例えば、次のような項目が入ってくるでしょう。
- 飲み代、ランチ代、カフェ代
- プレゼント代
- 整体、マッサージ代
- 旅行代
- 最低限を上回る被服、美容費
必須生活費だけでの生活は、ゆとりが足りなくて、ストレスが溜まってしまいます。
かといって欲望の全てを満たそうとすれば、お金はいくらあっても足りません。
自分にとって「ゆとりがあり、ストレスなく、ある程度現実的な生活」とはどんなものなのか、そしてその生活を送るにはどのくらいのお金が必要なのかを考えることが大切です。
今すぐにはわからなくても、家計管理をしていくことによってゆとり生活費に必要な金額がわかってくるかもしれません。
集計作業自体が、暮らし方を考える重要な機会になるのですね。
総資産額
最後に、「現在、自分がいくら持っているのか」を確認しましょう。
これを必須生活費やゆとり生活費と比べることによって、お金の不安をコントロールしたり、適切なお金の使い方を考えることができるようになります。
総資産額を計算する時のポイントは、「全ての資産をもれなく集計すること」です。
例えば、下記のようなものが資産に当てはまります。
- 現金
- 預貯金
- 株式(時価で算定)
- 不動産(時価で算定)
- 保険(解約返戻金相当額で算定)
- 退職金(予定額)
総資産額が分かれば、下記の式で無収入でも何年耐えられるかが分かります。
「総資産額」 ÷ 「必須生活費」
例えば、総資産額が2,000万円で必須生活費が年額200万円だった場合、無収入でも10年間は耐えられる計算になります。
必須生活費、ゆとり生活費、そして総資産額が見える化できれば、お金に関する漠然とした不安は減少し、お金の使い方も最適化されていくでしょう。
家計管理の目的を決め、自分の生活をより良くするようなお金の使い方ができるようになりましょう。
おすすめの家計簿アプリ
家計管理の目的が整理できたところで、次は家計管理の手段を決めるところですが、家計管理はなるべくシンプルにして、それを継続することが重要です。
現在は家計簿もアプリで管理できる時代になりました。
おすすめの家計簿アプリは、会計ソフトも作っているマネーフォワード社が提供している「マネーフォワードME」【PR】です。
「マネーフォワードME」については、下記動画で詳しく説明されていますので、興味のある方はぜひ見てみてください。
アプリに銀行口座やクレジットカードなどが連携でき、初期設定を行うだけで、あとは日々の支出がほぼ自動で取り込まれていきます。
必須生活費とゆとり生活費に分けられるので、非常に楽です。
家計管理の目的を達成できるのであれば、手段は何でもOKです。
Excelが得意な人はExcelを使えば良いし、紙が良ければそれでもOK。
好きなものを選びましょう。
ポイントはひとつだけ。
「把握したいことが把握できること」のみです。
その範囲で、なるべく簡単でシンプルな方法を選ぶと良いでしょう。
複雑で手間のかかる方法は、なかなか続きにくいですからね。
どれだけ高性能な家計管理ソフトでも、把握できないうちに挫折してしまっては本末転倒です。
そういった意味では、自動集計機能があってシンプルに家計管理ができる「マネーフォワードME」は、悪くない選択肢と言えるでしょう。
家計管理の第2ステップ
家計管理で知りたいことが把握できたら、すかさず次のステップへ進みましょう!
把握だけで止まったらもったいないです。
家計管理の第2ステップを考えることが、お金の貯まる家計を実現する近道になります。
家計管理の第2ステップの要素は下記の通りです。
- 必須生活費を下げる
- ゆとり生活費を上手に使う
- 総資産額を増やす工夫をする
それぞれ順番に見ていきましょう。
必須生活費を下げる
必須生活費は年間500万円
必須生活費は年間200万円
AさんとBさんでは、どちらがより安心して生活できるでしょうか?
一目瞭然ですね、答えはBさんです。
必須生活費は、低ければ低いほど安心して生活ができます。
- これくらいなら、稼ぎながらゆとりある生活を送れそうだ
- これくらいなら、配当金でまかなえるかも?
上記のように思えると、生活の自由度が増し、夢がふくらみますよね。
年収よりも働きがいで仕事を選べるし、セミリタイアも検討できるかも!
必須生活費が低ければ、上記のような考え方もできるようになっていきます。
筆者自身も、通信費などの見直しや、ふるさと納税などの工夫をして必須生活費を下げる努力をしています。
特に通信費の1つである携帯料金は、少ない労力で大きな恩恵を得られるところなので、下記の記事を参考に、固定費削減を目指してみて下さい(もうやっている人は完璧です👍)。
固定費を下げることは、豊かな生活を実現するための第一歩です。
自分にとって、生活をするのに必要最低限の費用と、豊かな生活を送るための費用をきちんと分けて考えるようにしましょう。
ゆとり生活費を上手に使う
ゆとり生活費の役割は、「賢く使う」ということに集約されます。
交際費や娯楽費などを明確に「ゆとり生活費」として集計してみると、その支出が
- 心が豊かになる、賢い「ゆとり生活費」だったのか
- 「ゆとり生活費」という名の、ただの無駄遣いだったのか
というのを自然と考えるようになるでしょう。
当然、賢い使い方をしたいし、無駄遣いは減らしたいですよね。
上記を把握することによって、例えば
- 気乗りしない飲み会に行くのはもうやめよう
- Prime VideoやYouTube Premiumはコスパ良く人生を豊かにしてくれる
- 毎日コンビニでジュースを買っていたけど、もったいないお金の使い方だ
などなど、今後賢いお金の使い方をするための選択ができるようになります。
(上記はあくまでも一例ですので、人によって選択は異なるでしょう)
まるで仙人のように、極限まで節約をするばかりが家計管理の目的ではありません。
満足度の高い、賢いゆとり生活費の使い方も覚えていきたいものですね。
総資産額を増やす工夫をする
資産を増やすためには、
- 支出を減らす
- 収入を増やす
のどちらかしかありません。
支出の削減については、上で触れた通り、
- 必須生活費を下げる
- ゆとり生活費を賢く使う
というのがポイントになってきます。
一方、収入を増やすためには、
- 残業時間を増やす
- 転職して年収を上げる
- 副業収入を得る
- 資産運用にチャレンジする
などの方法があります。
現在の日本は、銀行にお金を預けておくだけでは全くお金が増えない「超低金利時代」の真っ只中です。
貯金だけしていれば良い暮らしができた時代は、もうとっくに過去のものになってしまいました。
今は、国が「つみたてNISA」や「iDeCo」などの制度を使って投資を奨励するなど、確実に資産運用の重要性が高まってきています。
資産運用について学んでみたい場合、まずは下記記事から読んでみてください。
まとめ:目的をハッキリさせてシンプルな家計簿を目指そう
家計管理で一番大切なのは、「何を把握したいのか」の目的をはっきりさせることで、管理手法やスキル・ノウハウなどは二の次です。
本記事では、家計管理の目的を「必須生活費の不安を無くして、ゆとり生活費を賢く使えるようになるため」と位置づけ、必須生活費・ゆとり生活費・総資産額の3つを把握するための家計簿作りを目指すためにやるべきことを解説してきました。
管理の手段としては、家計簿アプリのマネーフォワードME【PR】を使って簡単かつシンプルに家計管理をする方法をお伝えしました。
必須生活費・ゆとり生活費・総資産額の3つが把握できるようになったら、ぜひ次のステップに進んでみて下さい。
必須生活費を下げ、ゆとり生活費を賢く使い、資産額を増やす工夫をすることに取り組んでいけば、経済的自由度が増し、豊かな生活に少しずつ近づいていくでしょう。
細かい手法にとらわれず、家計管理の目的を考え、自分に合った家計管理のやり方を見つけてみてくださいね。
お金の知識を網羅的に付けたい方は、下記の書籍を読むことをおすすめしています。
マネーリテラシーを付けて経済的自由を目指したい場合は、ぜひ読んでみてください。
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