家計のキャッシュフローを強化する投資スタイルの1つに、「高配当株投資」があります。
配当金として定期的にお金をもらって、生活を豊かにしようという考え方の投資です。
高配当株投資は、デメリットや難しさもある投資手法ですが、安定的なキャッシュフローを得るという目的にとっては有力な選択肢となりうるのです。
配当金は完全なる不労所得なので、選び方さえ間違えなければ、高配当株はまさに「金の卵を産み続けるニワトリ」ということができるでしょう。
ボクの見つけ方を教えるよ!
本記事では、どんな株式を買えば、金のニワトリを生み続ける高配当株として本物の資産になるのかを解説していきます。
それでは見ていきましょう。
日本の高配当株投資を成功させる方法
日本の高配当株投資を成功させるためには、大型株だけではなく、高収益・好財務の中小型株も併せて購入していくのがおすすめです。
大型株というのは、プロの投資家が安く買えるタイミングを常に虎視眈々と狙っています。
つまり、安く買えるチャンスを見つけにくいんですね。
そのため、購入チャンスが比較的多い中小型株にも目をつけていくと、高配当株ポートフォリオが作りやすくなっていきます。
米国株には為替リスクがある
日本株よりも、経済が成長している米国株で探したほうが良いんじゃないの?
このような疑問を持たれる方もきっといらっしゃることでしょう。
この意見も一理ありますが、米国株のみだと為替リスクを避けることができません。
日本で暮らす私たちは、「円」を使って生活しています。
なので、ドルだけじゃなく円でのキャッシュフローを増やすという目的で、日本株をポートフォリオに組み込むことには一定の有用性があるわけです。
日本の高配当株の探し方
では早速、日本の高配当株を探すためのステップを見ていきましょう。
- 高配当株ランキングを取得する
- 過去の業績を確認する(IR BANKを使う)
- 企業ページで直近の業績を確認する
- その他の情報をもとに将来の業績を予想し、購入の判断をする
これだけを見ると「なんのこっちゃ!!」と思ってしまうと思いますが、順番に詳しく解説していきますので、ぜひ最後まで読んでいってくださいね。
STEP1:高配当株ランキングを取得する
JPX(日本取引所グループ)によると、2022年6月時点での日本における上場企業の数は、約3,800社です。
このうち、高配当株と呼ばれる企業は数十〜数百社と、意外と少ないです。
Yahoo!ファイナンスの2022年6月現在の配当利回りランキング上位15社は、こんな感じになっていました。
このランキングこそが、投資すべき高配当株のリストになります。
単純に配当利回りの高い企業が並んでいるリストです。
これだけ見ても、どの銘柄に投資をすべきかを判断することはできません。
- 最大瞬間風速的に高い配当を出しているだけなのか
- 長期的に高い配当をもたらしてくれそうなのか
- 株価は今後も安定していそうか、または上昇しそうか
- 財政状況・業績は安定していそうか
などの項目が判断できないからですね。
探すべき高配当株の条件
高配当株を探す時に条件としておきたいものを整理しておきましょう。
以下にまとめました。
- 安定的に配当金を出し続けている
- 配当金の金額が増えている
- 長期的に株価も伸びていきそう
単純に高配当株ランキングの上位から買っていくような買い方は、その時点で高い配当を出している企業に過ぎません。
そのため、長期的に株価が落ちたり、配当を出し続ける体力がなくなってしまったりする企業も多く含まれますので注意が必要、ということです。
STEP2:過去の業績を確認する(IR BANKを使う)
STEP1で取得した高配当株の候補リストの中から、目をつけた銘柄を1社ずつ丁寧に見ていきます。
これが、金の卵を産み続けるニワトリの選別作業です。
この作業をするのに便利なWEBサイトが、「IR BANK」というわけです。
IR BANKを見ることによって、企業が過去にどれくらいの配当を出してきたのかを見ることができます。
IR BANKの使い方
まずは、IR BANKのページを開いてみましょう。
▼ リンクはこちら
https://irbank.net/
次に、トップページの左上にある検索窓に企業名(もしくは銘柄コード)を入力していきます。
検索できたら、銘柄名をクリックします。
そして左端のリンクから、「決算」をクリックします。
これで過去の業績をチェックすることができます。
このページは、対象銘柄の過去の業績がひと目で分かる、超重要なページです。
ニワトリに例えると、「健康診断結果表」みたいなものですね。
このページの中で重要な8つの項目をチェックするだけで、健康状態の悪いニワトリが分かります。
IR BANKでチェックすべき8つの項目
優良な高配当株を見分けるために重要な項目は次の8つです。
- 売上高
- EPS
- 営業利益率
- 自己資本比率
- 営業活動によるCF
- 現金等
- 一株あたり配当金
- 配当性向
順番に解説していきます。
チェックすべき項目①:売上高
売上高については、特に説明はいらないかもしれません。
業種によっては、「営業収益」や「収益」などという呼ばれ方をしている場合もありますが、これらも全て売上高と思ってもらって構いません。
KDDIの場合は、「営業収益」という名前で載っていますね。
売上高を見る際のポイント
売上高を評価する際に、金額の大小以上に重要な項目があります。
それが以下の2つです。
- 売上高が右肩上がりで成長しているか
- 売上高の増減が激しすぎないか
業績が不安定な企業は、安定して高い配当を得られる可能性が低いため、高配当株投資には向いていません。
KDDIのように、売上高が階段状に少しずつ右肩上がりに伸びていっている企業が理想です。
チェックすべき項目②:EPS
EPS(Earnings Per Share)は、1株あたりの利益のことです。
利益の金額を株数で割って求められる数字で、株式投資においては最も重要な指標の1つといえます。
KDDIの場合はこんな感じで、きれいな右肩上がりになっていますね。
EPSを見る際のポイント
EPSを見る際に気をつけるポイントは1点のみ。
それは、「右肩上がりになっているかどうか」です。
EPSが右肩上がりなら、企業経営としては素晴らしい成績といえます。
逆に、EPSが下がっていたり、EPSが不安定な企業は、高配当株投資という点においては候補から除外したほうが良いでしょう。
チェックすべき項目③:営業利益率
営業利益率とは、売上高のうち、営業利益がどれくらいの割合かを示したもので、「営業利益÷売上高」という計算式で求めます。
営業利益率が高ければ高いほど、より儲かるビジネスをやっている収益性の高い企業ということができます。
KDDIの過去10年の営業利益率は13〜19%あたりを推移しています。
これは非常に高い営業利益率ということができます。
IR BANKでも、高利益率の定義を「営業利益率10%以上」としているので、直近のKDDIの営業利益率19%というのがどれだけ高い数字なのか分かって頂けると思います。
営業利益率を見る際のポイント
営業利益率の判断基準は、業種にもよりますが、概ね「10%以上かどうか」です。
5%以下の場合はそもそも検討の余地なし、6〜9%の場合は、他の数字や同業種の平均的な営業利益率なども見つつ総合的に判断していきましょう。
また、EPSと同じように「営業利益率が右肩上がりに伸びているかどうか」というのも評価軸として持っておくと良いでしょう。
必ずしも右肩上がりになっている必要はありませんが、今の営業利益率が10%以上でも、右肩下がりになっている場合は、将来性が危ぶまれるため注意が必要です。
チェックすべき項目④:自己資本比率
自己資本比率は、企業の安全性を表す指標で、簡単に倒産してしまわないかどうかを見ることができます。
自己資本比率が高ければ高いほど、借金などの負債が少なく、潰れにくい企業だということができるでしょう。
例えば、今手元に現金1,000万円があるとして、その1,000万円は「自分で用意したもの」なのか、それとも「他人から借りてきたもの」なのかを見れる指標です。
1,000万円全額を自分で用意したのであれば、自己資本比率は100%です。
1,000万円のうち500万円を他人から借りたのであれば、自己資本比率50%ということになります。
KDDIの自己資本比率は、50%前後ですね。
これは可もなく不可もなくという感じです。
自己資本比率が減少傾向にあるのが若干気になるくらいですね。
自己資本比率を見る際のポイント
自己資本比率については、ざっくり下記のような感じの温度感で評価すると良いでしょう。
- 80%以上:超安心、超青信号
- 60〜79%:安心、青信号
- 40〜59%:少々不安だが及第点、黄信号
- 40%未満:検討対象外、赤信号
中小企業庁によると、自己資本比率が40%以上ある企業が10年以内に倒産する確率は、たったの5%以下という数字がはじき出されています。
上記より、上場企業で自己資本比率が60%以上であれば、倒産するリスクはかなり低いと言えるでしょう。
企業経営は、時に適度な借り入れをすることも大事なので、必ずしも自己資本比率が100%に近ければ良いとは限りませんが、高い方が安全であることは間違いありません。
チェックすべき項目⑤:営業活動によるCF(キャッシュフロー)
営業活動によるCF(キャッシュフロー)とは、「1年間の営業活動によってどのくらい手元の現金が増えたのか」を表す指標です。
これが増えていくと、経営者も株主もみんな笑顔になれますね。
KDDIの場合は、ざっくり右肩上がりで増えていっていますね。
営業活動によるCFを見る際のポイント
営業活動によるCFを見る際のポイントは単純明快で、「毎年黒字かつ増加傾向にあること」です。
過去10年のうち1年でも営業CFが赤字になっている企業は、高配当株投資においては検討対象外とした方が良いでしょう。
チェックすべき項目⑥:現金等
企業の究極的な目的は、現金を稼いで増やすことです。
なので、現金がしっかりと増えているかどうかをチェックしましょう。
KDDIも、ちゃんと現金が増えていっていますね。
現金等を見る際のポイント
高配当株を買う際には、長期的に見て現金が増えていっている企業に投資をするようにしましょう。
現金を多く持っている企業は、以下のことが可能になります。
- 不景気が来ても乗り切れる
- チャンスで大きな事業投資ができる
- 配当を出したり、自社株買いなどで株主に還元できる
ちなみに、企業によっては余剰資金を株式や債券などを買って運用していたりします。
現金等をあまり持っていないように見えても、実は換金性の高い資産を持っていたりするので、見逃さないようにしましょう。
こうした情報を知るには、企業の貸借対照表など、別の資料を見ていく必要があります。
チェックすべき項目⑦:1株あたり配当金
1株あたり配当金は、その名の通り、「1株買ったときの配当金はいくらか」というのを表す指標で、高配当株投資においては最も重要な指標の1つと言えるでしょう。
KDDIの1株あたり配当金の推移は以下のとおりです。
配当金がどんどん増えていっているのが見て取れますね。
1株あたり配当金を見る際のポイント
1株あたり配当金を見る際に確認すべきポイントは、以下の2つです。
- 配当金の安定性
- 配当金の成長性
「配当金の安定性」は、過去に配当金の金額が減ったり(減配)、配当が0円になったり(無配)していないかを確認すればわかります。
特に、リーマンショックなどの不景気が到来した際にどのような動きをしているかは要チェックです。
「配当金の成長性」は、長期的に配当金の金額が増えていっているかを確認すればわかります。
例に出しているKDDIは、2022年まで20期連続で配当金を増やしている、いわゆる「連続増配企業」にあたります。
こういった企業を沢山見つけていきましょう。
チェックすべき項目⑧:配当性向
配当性向は、「今年の利益のうち株主に還元する割合」を表す指標です。
これを見ると、企業が無理をして配当金を出していないかどうかがわかります。
KDDIの配当性向は、20〜40%程度で推移しています。
連続増配企業というだけあって、少しずつ配当性向が増えてきていますが、市場全体を見るとまだまだ低い数字です。
一般的に配当性向が70%を超えてくると、「そろそろ今のレベルの配当金を出すのは厳しくなってきたかな…」という感じですね。
配当に70%も使っているということは、裏を返せば、利益のうち企業に残るお金が30%以下しかないということです。
これでは事業投資にお金を割くことができませんよね。
まして配当性向が100%を超えているような場合は、利益以上のお金を配当に回していることになるので、持続性がないのがわかると思います。
配当性向を見る際のポイント
企業にもよりますが、一般的には、配当性向が30〜50%程度であれば安心して投資できると考えて良いでしょう。
70%以上の配当性向がある企業は要警戒です。
配当性向が高すぎる会社は、この先安定的な配当が得られない可能性が高いため、多額の投資は控えるようにしましょう。
STEP3:企業ページで直近の業績を確認する
過去のデータを見終わったら、次に現在の最新状況を確認します。
調べる際には、Googleなどで「【会社名】 IR」などと検索してください。
例えば、KDDIについて調べたければ、「KDDI IR」と検索すればOKです。
このページで探すべきは、最新版の「決算プレゼンテーション資料」です。
一番理解しやすいのが「決算プレゼンテーション資料」
企業は、投資家に対して様々な資料を作って業績を報告します。
- 決算短信
- 有価証券報告書
これらの資料は、中身がマニアックで難しいです。
そんな中、少しでも多くの投資家が理解しやすいように作られているのが、「決算プレゼンテーション資料」なのです。
決算プレゼンテーション資料は、直近3ヶ月の売上や利益だったり、現在好調なビジネスや苦戦中のビジネスなどをわかりやすく説明してくれています。
特に大事な部分を抽出して見ることができるので、企業の概要を知りたいような場合におすすめです。
「決算プレゼンテーション資料」がない場合
もし、投資家情報のページを見ても「決算プレゼンテーション資料」が見つからなかった場合は、「決算短信」の1ページ目を見ればOKです。
「決算プレゼンテーション資料」に比べると見にくいですが、最低限の簿記の知識があればある程度は理解できる難易度なので、こちらも読めるようになっておくと良いでしょう。
STEP4:その他の情報をもとに将来の業績を予想し、購入の判断をする
そもそも投資というのは、「未来」に対してお金をかける行為です。
いくら過去や現在の業績が良くても、その企業にこれ以上の伸びしろがないような場合は、投資をすべきではありません。
過去や現在の業績を把握したら、今までの自分の経験や知識をもとに、様々な方法を使って、その企業の未来の業績を予想してみましょう。
具体的には、下記のような方法が挙げられます。
- 社長のインタビュー動画や記事を読んでみる
- 業界の未来や競合他社について調べてみる
- 実際に会社の製品やサービスを利用してみる
これらをやってみて総合的に評価し、「買いだ」と思える高配当株を探していきましょう。
まとめ:高配当株にも簿記の知識は必須!
今回は、日本株で高配当株投資をしたい方向けに、日本の高配当株の探し方を解説しました。
改めてステップをまとめると、次のとおりです。
- 高配当株ランキングを取得する
- 過去の業績を確認する(IR BANKを使う)
- 企業ページで直近の業績を確認する
- その他の情報をもとに将来の業績を予想し、購入の判断をする
特に今回重点的に紹介しているSTEP2の「IR BANK」をうまく使えるかどうかで、不健康な金のニワトリを掴んでしまう可能性をグッと下げることができるでしょう。
今回説明したことを「理由」「根拠」「意味」レベルでしっかり理解したい場合には、やはり簿記の知識が必要不可欠です。
簿記の知識を学ぶには、資格スクールに通うのも手ですが、YouTubeで優良な講師にアクセスすることも可能になりました。
簿記は、高配当株投資はもちろん、経済ニュースを理解したり、不動産投資や、フリーランスとして働く際だけでなく、起業して自分の会社を持つ際にも役に立つ、学んで絶対に損しないお金に関する基礎知識です。
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