日本でも、つみたてNISAやiDeCo(イデコ)などの投資に関する制度が確立してきましたね。
段々と「自分もやったほうが良いのかな…」と思う人も増えてきているのではないでしょうか。
でも、具体的に何に投資をすべきかがわからなかったり、「投資は自己責任」というし、下手なリスクを取りたくないと思っている人も多いのではないかと思います。
そこで今回は、資産運用の王道である「米国ETFを定期買付する」ことのメリットと、自動化するための具体的な方法について解説していきます。
この記事を読んで今すぐ行動する人と、後になって後悔する人の明暗が分かれると言っても過言ではありません。
最後まで読んで、株式投資にチャレンジしてみてください。
投資信託とETFの違い
米国ETFを解説する前に、「ETFと投資信託の違い」について解説します。
投資信託(ファンド)
投資信託は、次のような金融商品のことを言います。
- 複数の投資家からお金を集める
- 資産運用のプロが、株式や債券、不動産などに投資をしてお金を増やす
- 得られた利益を、投資家に分配する
また、投資信託には次のようなメリットがあります。
- 少額からでも購入できる
- 分散投資により、リスクを軽減できる
- 手間がかからない
- 法律により、資産が厳重に守られている
ETF(上場投資信託)
上記が投資信託なのですが、ETFは、日本語にすると「上場投資信託」です。
上場株式などと同じように、証券市場で誰でも自由に売買できるようにしたのが、ETF(上場投資信託)というわけですね。
通常の投資信託は、証券市場には上場していないため、値動きはリアルタイムではなく、通常は1日1回、基準価額というのが決まります。
それに対してETFは、上場株式と同じように、リアルタイムで値動きがあります。
投資信託とETFでは、「売買方法」と「コスト」にも差が出る
上場しているかどうかで、値動きの仕方に違いがあるのですが、その他にも違いが出る点があります。
それが、「売買方法」と「コスト」です。
ETFの売買方法
ETFは、上場株式と同じような買い方ができます。
上場株式は、一般的に自動積立投資ができないのですが、ETFも同様、通常は自動積立投資ができません。
逆に、通常の投資信託は自動積立投資ができる、ということになります。
ETFのコスト
ETFは、一般的には通常の投資信託よりも低コスト、すなわち手数料が安くなります。
ただ、昨今は通常の投資信託もかなり努力していて、手数料はETFと肉薄してきています。
米国ETFとは
それでは、本題の「米国ETF」について解説していきます。
米国ETFは、「米国の証券市場に上場しているETF」のことを指します。
米国の証券市場に上場しているETFなので、必ずしも投資対象が米国企業のみになるわけではありません。
つまり、米国ETFでも、米国以外の国や地域の株式・債券に投資をすることが可能です。
世界中の株式に投資できる「VT」
例えば、VT(バンガード全世界株式ETF)というETFを買うとします。
これだけで、世界中の株式のうち、主要な約8,000銘柄に分散投資をすることが可能なのです。
この「VT」というETFは、米国の証券市場に上場している「米国ETF」です。
世界第一位の経済大国である米国の証券市場には、世界中から優良な金融商品が集まってくるので、米国ETFを使うことは、同時に、世界中の金融資産にアクセスできるということにもなるわけです。
米国ETFを運用している代表的な企業
米国ETFを運用している代表的な企業は、次の3社です。
- バンガード
- ブラックロック
- ステートストリート
この3社だけでも、運用総額は約1,000兆円を超えます。
日本の資産運用会社とは桁違いの数字なのです。
なぜ日本の投資信託ではダメなのか?
日本(の一部)で話題になっている投資は、宣伝に力を入れているだけで、中身のない金融商品であることが多いです。
宣伝に力を入れるということは、それだけコストもかさんでいるので、手数料も大きくなります。
手数料は%で表示されるので、ぱっと見「そんなに影響がないんじゃないか?」と思ってしまいがちなのですが、これが長期投資では、ボディブローのようにじわじわ聞いてくるので、馬鹿にできません。
資産運用の鉄則
資産運用においては、「鉄則」ともいうべき3つの項目があります。
それが下記です。
- 手数料は、できる限り抑える
- 税金は、できる限り抑える
- 投資目的に合ったアセットアロケーションにする
最初の2つは誰でもわかると思いますが、3つ目の「アセットアロケーション」とは何でしょうか?
アセットアロケーションとは
アセットアロケーションは、日本語にすると「資産配分比率」となります。
投資対象は、株式だけでなく、債券や不動産、金など、様々あります。
これらを「それぞれどのくらいの割合で保有するのか」を決めるのが、アセットアロケーションということです。
自分が手にしたいリターンや、取りうるリスクを考えて、この配分比率を決めていくことになります。
米国ETFは鉄則を満たす便利なツール
米国ETFは、手数料とアセットアロケーションを考えた時に、非常に便利なツールになります。
安い手数料と分散の効いた投資対象。
これらをETFの買付だけで実現できるのです。
そして、この米国ETFに「自動積立」という要素をプラスすると、非常に優れた投資手法が完成する、というわけですね。
先ほど、「ETFは自動積立設定できない場合が多い」と説明したのですが、記事後半では、ETFの自動積立設定方法について、具体的な方法を解説しているので、最後まで記事を読み進めていってくださいね。
米国ETFを自動積立するメリット
それでは次に、米国ETFを自動積立するメリットについて見ていきましょう。
米国ETFを自動積立するメリットは、次の4つです。
- 低コストの優良ファンドに投資できる
- アセットアロケーションの調整が簡単
- ドルコスト平均法によってリスクを軽減できる
- 投資のハードルが下がる
それぞれ順番に解説していきます。
低コストの優良ファンドに投資できる
まずはメリットの1つ目、「低コストの優良ファンドに投資できる」について見ていきましょう。
基本的には、人気のある米国ETFは超低コストです。
最安クラスの場合、信託報酬(運用手数料)は年間0.03%程度のものもあるくらいです。
仮にこのETFに100万円投資した場合でも、年間300円の手数料しか取られないわけですね。
1日あたり0.8円というかなりの破格値です。
優良ファンドは、手数料が安い
投資の世界では、優良なファンドほど手数料が安い場合が多いです。
日常のサービスでは、一般的に手数料が高い方が良いサービスを受けられる場合がほとんどです。
しかし、投資の世界においては、これが全く逆になります。
投資の世界は、高い手数料なのに運用成績があまり良くないことの方が多いです。
特に、金融機関や証券会社の窓口で紹介されるような商品は、手数料が高い割に成績が芳しくないものが多いので、注意しましょう。
信託運用(運用手数料)が1.5%を超えているようなものは、間違いなく「ぼったくり投資信託」認定商品です。
100万円の投資で年間15,000円も取られるわけなので、それ以上の運用益が出なければ、資産価額が減ってしまいます。
これは米国の優良ETFと比べると圧倒的な差になりますよね。
既に買ってしまっている人は、たとえ利益が出ていたとしても、これ以上の機会損失を生まないために、すぐに解約して米国ETFに乗り換えた方が良いレベルです。
米国ETFの人気ファンドの手数料
米国ETFの人気ファンドは、信託報酬(運用手数料)が高くても0.2%程度までのものがほとんどです。
例えば、アメリカの上場企業全体に広く投資をする「VTI」という人気ETFの運用手数料は0.05%と超激安です。
アセットアロケーションの調整が簡単
米国ETFを活用すれば、ETFの銘柄数をあまり増やさなくても、幅広い資産に投資することができます。
例えば、下記5銘柄を買い付けると、全世界の株式・債券・不動産系資産に投資することも可能です。
- VT:全世界株式
- AGG:米国総合債券
- IGOV:先進国債券(米国除く)
- IYR:米国不動産
- IFGL:先進国不動産(米国除く)
これらを、自分の期待するリターンや許容できるリスクに合わせて割合を決めて投資するようなイメージですね。
ETFは、市場でリアルタイムに売買ができるので、アセットアロケーションの比率調整が楽にできるんですね。
全体像もすぐに把握でき、見直しもすぐにできます。
例えばこれを個別株で管理しようとすると、銘柄数もかなり多くなり、管理の難易度は凄まじく上がってしまうでしょう。
ドルコスト平均法によってリスクを軽減できる
ドルコスト平均法というのは、「定期的かつ継続的に、一定額で」金融商品を購入し続ける投資手法のことです。
つまり、株価が高い時には、少ない量しか買えず、株価が安い時には、多い量を買えることになります。
これにより、高値掴みを軽減し、割安時に沢山買うことができるようになり、平均購入単価を良い水準に均すことが可能になるのです。
一発勝負で大きな買付を行ってしまうと、その後「○○ショック」のような暴落局面になり、高値掴みになってしまった場合に、大きな損失を被ってしまって、狼狽売りにつながる可能性がありますよね。
そのような大きな損失を被るリスクを回避できるのが、ドルコスト平均法の一番のメリットと言えます。
ドルコスト平均法によって抑えられる2つのリスク
ドルコスト平均法によって、具体的には下記の2つのリスクを軽減できます。
- 株価の変動リスク
- 為替の変動リスク
ドルコスト平均法は、上記のようなリスクをある程度抑えられる、優れた投資手法なのです。
日本が採用した「つみたてNISA」にもこの考え方が採用されているということができますね。
ドルコスト平均法で気をつけなければならないこと
あらゆる場面で万能に思える「ドルコスト平均法」ですが、弱点もあります。
それが、「最終的に資産価格が右肩上がりになるものを買い続けないと意味がない」という点です。
なので、手数料の高い商品や、運用成績が右肩上がりになっていないような商品においては、ドルコスト平均法を使っても意味がないことになりますので注意しましょう。
投資のハードルが下がる
「米国ETFを自動積立で買い続ける」
今は少し難しいことのように感じてしまう方もいらっしゃると思います。
そんなあなたに朗報です。
なんとこの方法、自動積立の設定が済んでしまえば、あとはほとんどやることはなくなります。
自動積立の設定が終われば、その後はほったらかし状態でも自動で買付を行ってくれるわけですからね。
強いて言えば、アセットアロケーションの見直しを1年に1回くらい行うと、更に良いでしょう。
おそらく、いろいろいじりたくなると思います
自動積立は、あまりにも楽すぎて、途中でいろいろな銘柄を買おうとしてみたり、その時々でパフォーマンスの良い銘柄に目移りしてしまったりすることもあると思います。
そうした欲を抑えることの方が、大変かもしれません。
投資の世界では、「動けば動くほど金は減る」という格言があります。
売買を繰り返すと、手数料もその分かさむわけですね。
なので、自動買付を設定したら、あとは忘れるのが一番です。
米国ETFを「自動で」定期買付する方法
「米国ETFを自動積立する」というと、日本人にとってはほとんど馴染みのない投資手法のように思われてしまいます。
しかし、それは日本の学校で金融教育がほとんどなされないからです。
米国ETFの定期買付は、世界的に見ても間違いなく金融リテラシーの高い投資手法といえます。
さて、まずはどの証券会社でETFを自動買付するかですが、結論は一択です。
ネット証券大手の「楽天証券」を利用することで、米国ETFの定期買付が可能です。
SBI証券でも同じように定期買付が可能なのですが、証券ページのウェブサイトの見やすさと、楽天経済圏のメリットをフル活用できることを考えると、筆者的には楽天証券一択かなと思っています。
それでは、楽天証券で米国ETFを定期買付する方法を見ていきましょう。
①楽天証券の口座を開設する
まずは楽天証券の証券口座を開設しましょう。
下記バナーから口座開設が可能です。
②買い付けるETFの銘柄を決める
口座開設ができたら、次に定期買付するETFの銘柄を選定していきます。
鉄板の米国ETF銘柄3つは下記の通りです。
- VT(全世界株式):世界中の株式を集めたファンド。
- VTI(全米株式):米国の企業約4,000社を集めたファンド。S&P500に小型株がプラスされたような形。
- VOO(S&P500):米国の選りすぐりの企業500社を集めたファンドで、信頼と実績のある株価指数。
長期投資が前提なので、上記の銘柄のような「時価加重型」のシンプルなETFがおすすめです。
時価加重型とは、構成銘柄の時価比率で保有するETFで、時価が大きい会社の株式ほど保有比率が上がります。
例えば、100万円を100社に投資するとして、Appleのような大企業にも1万円、上場したての小さな企業にも1万円…といったように投資をしていくと、金額は同じですがリスクが異なりますよね。
これを均すために、時価の大きい企業の保有比率を増やすのが、時価加重の考え方です。
時価総額が大きな企業は多めの比率で保有し、少ない企業は少なめの比率で保有すると、うまい感じにリスク分散でき、バランスが良くなります。
③毎月の買付日を指定する
購入する米国ETFの銘柄が決まったら、次に、毎月の定期買付日を決めます。
会社員の方は、給料日の直後とかに設定すると、無駄遣いも防げるし、良いかもしれませんね。
④買い付ける株数を決める
米国ETFは、銘柄ごとに値段が異なります。
購入する米国ETFを1株買うのにどれくらいの金額が必要なのかを予め見ておき、きちんと定期買付ができるよう、証券口座に資金を入れておきましょう。
楽天証券では、楽天銀行と「マネーブリッジ」という設定をすることで、楽天銀行から自動的にETF購入代金を移動してくれる機能があります。
かなり便利ですし、「マネーブリッジ」設定をしておくと、楽天銀行の普通預金金利が上がる恩恵も受けられるので、楽天銀行も併せて口座開設しておくのがおすすめです。
楽天銀行の口座開設は、下記URLから可能です。
⑤円で買い付けるか、外貨で買い付けるかを決める
米国ETFを買い付ける際、日本円で購入するか、米ドルで購入するかを選ぶことができます。
このあたりはあまり大差がないので、好みに応じて選択すれば良いと思います。
ドル転(日本円を米ドルに両替すること)を別の銀行でやったり、工夫して取引コストを下げることもできますが、毎回やらなければならないことを考えると、自動買付の魅力が半減してしまいます。
特にこだわりがなければ、円貨買付でOKでしょう。
⑥設定完了!あとは毎月自動で買い付けてくれる
ここまでくれば、あとは毎月、証券会社の方で自動的に、選んだ米国ETFを定期買付してくれます。
一度設定してしまえば、あとはほったらかしでOKなのでとても楽です。
まとめ
「米国ETF × 自動積立」の魅力について、少しでも理解して頂けたなら嬉しいです。
最後まで読み進めて頂いているので、あとは行動あるのみ。
初心者でもできる資産運用の勝ちパターンの1つなので、本記事を参考にして、ぜひ取り入れて頂ければと思います。
お金の知識を網羅的に付けたい方は、下記の書籍を読むことをおすすめしています。
マネーリテラシーを付けて経済的自由を目指したい場合は、ぜひ読んでみてください。
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